【勘違いしやすいF1種と遺伝子組み換え種のお話】
この記事では最近興味のある「種のお話・F1種と固定種、遺伝子組み換え」について簡潔にまとめていこうと思います。
尚、素人の僕ですから自身の勉強を兼ねてまとめています。
記事を参考にしたり、友達の農家さんに聞きた話がもとです。
また、いろんな立場の方がいらっしゃいますよね。まずは、今を支えるあらゆる立場と可能性を持つ人や動植物、仕組みに心から感謝と尊敬を。
今まで生かしてもらっているのは、とにかく今までの全てのもののおかげさまです。ありがとうございます。
この記事では、できるだけ批判的な気持ちではなく、ただ「知る」ことのお役にたてば幸いです。(難しいところですが)
(もらったり収穫したマイシードバンクです。)
(うちで実った種たち)
まず、僕は最近までお恥ずかしい話、F1種(交配種)と遺伝子組み換え種が同じようなものと考えてしまってました。
【F1種=交配種=1代雑種】
生物学の不思議(メンデルの法則)により、別の種を掛け合わせると、どちらかの優勢の性質が必ずと言っていいほど現れるそうです。
赤くて丸くて大きくて甘いトマト。を誰もが望むわけですが、自然界ではそのままだと多様的にいろんなクオリティのものが実る。
これがナチュラルでいいんですが、やはり一般社会の台所を支える農家さんにとっては均一的なクオリティが保持できれば嬉しい。
そこで狙いをつけて、AAとZZというトマトの種類を掛け合わせるとします。ちなみに遠い種類のほうがよりいいものができるらしいです。
ここで、いったん理解したいのは、これは遺伝子組み換えなどの話ではありません。
自然な交配の範囲内、、と僕は考えます。(そういう理解が一般的のようです。)
単純にAAの雌しべにZZの雄しべを受粉させるんです。
その時、メンデルの法則によりAA(赤くて丸くて大きくて甘い)が優勢だとすると、この特性が限りなく均一的に発現するらしいです。(これが一代雑種)
ただし、この子たちが更に種をつけて、それを撒いて育てた場合は、何故か均一的なクオリティではなく、また様々な多様性へとかえっていくようです。(AA、AZ、ZA、ZZ、、、のように)
これが生命の本質なんでしょうね。
そこで種苗メーカーさん(企業さん)は一代雑種の種だけを常につくりたい訳です。
だから、交配により最高のクオリティを発見したら、それを作り続けるのですが、作るといっても相手は命を持った植物です。
【自家受粉と自家不和合性(じかふわごうせい)】
ところで、自然界で受粉は、2種あるようで「自家受粉」と「自家不和合性」があります。
「自家受粉」は同じ花の中の雌しべと雄しべの花粉が触れ合い受粉する。(いいなずけのような感じです。)
「自家不和合性」は前者では受粉せず、他の株の雄しべの花粉でないと受粉しない。(ミツバチなどの仕事に期待。)
【除雄(じょゆう)と雄性不稔(ゆうせいふねん)】 「自家受粉」のほうは、いいなずけのような状態なので、まあ、その中で受粉することになりますよね。
AA種の花の中で受粉してしまっては、ZZ種を交配できないので、種苗メーカーさんはピンセットで6~8本の雄しべをひとつづつ抜きとる作業をしていたらしいです。(これを除雄という。)
あとは、雌しべだけになったAAにZZの雄しべの花粉を綿棒などで丁寧に受粉させて、実ったAZの種を常に1代雑種として確保する。 これは大変手間なようで、繊細な雌しべを傷つけてもいけないし、人がやるしかないけど、かなり大変で人件費も膨大だった。(今もこの方法による作業はあるにはあるらしいですが。)
そんな中、1925年、タマネギにおいて雄しべをもたない株が発見されました。つまり奇形種です。
ここは論点の最初のポイントなのかなって思いますが、あくまで自然の中に発生した超レアなもの。
あくまで自然。でも奇形で雄しべを持っていない。
男性機能がない、無精子病のようなものです。
さて、徐雄作業を大変と思っていた種苗メーカーさんは、この超レア種はかなり都合の良いしろもの。生唾ものです。(笑)
これを培養拡大して、改良を重ね、上記のトマトのようなものに近づけ、雄しべのもたないAAを作り、最後はZZ的な遠い種のものと交配させると、徐雄作業の苦労の無い、AZ種ができあがります。
確認ですが、この流れの中では遺伝子操作はしていません。
あくまで自然の摂理の中でありえた可能性を人が積極的に誘導し拡大している。という主張と、いや、雄しべをもたない種を食べることは人への影響は計り知れない。
例えば、無精子病、不妊など人への生殖機能などにどれほどの影響があるのか分からない。
実際、このポイントはマウスを使った実験程度でそれも微妙な結果なこともあり、業界内では論議を繰り返しつつ、決定的な結果は何もないらしいです。
日本では、F1種(交配種)のもつ雄性不稔の性質に警告を続ける在来種・固定種専門の種屋さん、野口のタネさんが有名です。
野口さんのインタビュー動画の中の最後では、不妊に悩んでいた人が一年そこそこで固定種の野菜を食べ続けたら妊娠した。という人が6人も。みたいな事もおっしゃっています。Youtube 動画へ
世界では、やはり同じような考えを「アースデモクラシー」にまで発展させ警告を続けるインドのヴァンダナシヴァ博士が有名じゃないでしょうか。 https://kokocara.pal-system.co.jp/2015/02/09/seed-vandana-shiva/
【F1種は種を残さないわけでは無い】
更に誤解が多いのは(僕もでした)、F1種って子孫を残さないから一代雑種というんでしょう。と思われがち。
実際には種を残すし、それも育ちます。
雄しべが無いのに?って混合しやすいですが、雄しべが無いのはレアなAA種の培養タイプのほうで、AZ種はまたきちんと雄しべも雌しべもあります。
放っておけば、また自家受粉し種を実らせます。
話のポイントはまた「2代目になると多様的なクオリティになる。」というところへ戻り、一般の農家さんにとってはちょっと嬉しくなくなるわけです。(効率が悪い)
【問題はいろいろ】
残念ながら、昭和30年以降はF1種が企業社会中心の流れとともに広まり、現在は世の中のほとんどがF1種になっているようです。
先に挙げた懸念されるポイントの他に、「本来の味がしない」「栄養価が無い」「多様性の損失」などから続き「企業の種の独占」「種の絶滅」etc,,,なども現実問題としてたくさんあります。
昔のニンジンはニンジンの味がした。。。みたいな話はよくききますよね。
もちろん、F1種の拡散による恩恵もあります。なにせ、今の人口の食をしっかり支えている訳ですから。(逆に固定種などは多様的なので家庭菜園をすすめていたり)
長くなったので、遺伝子組み換えや関連事項については次回に書いてみようと思います。
読んでくださってありがとうございました!
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【参考記事】
花粉を作らない雄性不稔のメカニズム 京都産業大学 より https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st17_07.html
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